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善福寺池の不思議

武蔵野市との境にある杉並区の善福寺池は上の池(写真1)と下の池(3)の二つの池からなり、それを繫いでいるのが小川(2)である。

 

但し上ノ池の水がいきなり小川に直結しているのではない。藻が発生して緑色の上ノ池の水はその落口に簡単な濾過装置を経て、それから幅10m程の道路下の暗渠を通って小川になる。

 

あの緑色の汚い水があら不思議、暗渠を出ると清水に変身し(2参照)親水公園として整備されている。何故だろう、これが今回のテーマ。

 

道路下に高度浄化装置が設置されている気配は無いので、想像だが落口からの池の水は下水道に流し、小川には水道水か汲み上げた地下水を流しているのではないか と思われる。

だから水量は極端に少ない、人造小川であろう。

 

昔はこの一体は湧水が多く(武蔵野ハケ)、神田川を使って江戸に飲料水を提供していたほどだったが近年湧水が枯れてしまった。上ノ池の水源である 頼朝伝説の遅の井の井戸 も地下水を汲み上げて復古再現している。それも微量だから要するに溜め池にすぎなくなって水質劣化が避けられない。

下ノ池も同様である、一面の蓮池が広がっている。

 

「中水道、下水道 一括処理の難点」

ここを拠点として1級河川善福寺川が区内を横断し神田川に注ぐ。

善福寺付近は昭和初期まで沼地と水田だった。そこに池を作り埋め立てて住宅地を作ったので、今でも大雨が降ると水が溜まりやすい地域。池に溜まる分には問題ないが、下水管に流れ込んだ雨水が道路に溢れだし下水と一緒に川に流れ込む。

川にトイレット・ペーパーの白い斑点が付着し、川の真上にある井荻小学校の川の清掃運動が始まったらしい。

 

全国共通の問題でオリムピックのトライアスロン会場も便所くさいと問題になっている。

日本だけで無く、世界の大都市も同様に無処理下水を流しているところが多いらしいが、大雨の多い日本では特に深刻という事だ。

 

水の制御は難しい、神田川水系では巨大地下ダム等を各所に作り洪水対策は進んでいるが、川の水、池の水 の浄化はまだまだ先の事だろう。