☆4.0
2013/98分 あなたを抱きしめるまで
英米仏 原作M・シックススミスS・フリアーズ(クイーンの)監督
J・デンチ、S・クーガン(脚本)
未婚の母を修道院が引き取り面倒をみる反面、強制労働させ又子供を売却し
利益を上げ、以後一切情報を遮断して親の必死の捜索を不可能にするという
実話を映画化したもの。アイルランドで起きた社会問題提起。J・デンチが
老人特有な落差の激しい感情を見事に演じているが、それ以上にクーガンの
自然な演技が光り負けていないのが収穫。宗教の暗い面を暴いた力作。
2013/121分 8月の家族たち
米 J・ウエルズ監督
M・ストリープ、J・ロバーツ、Y・マクレガー
上記2大女優が主演、助演のオスカーダブル受賞を果たした作品。
特にJ・ロバーツは見ていて苦しくなるなる程の神経質な女性を演じて迫力。
舞台となったアメリカ中西部オクラホマの乾いた大平原が家族悲劇を象徴しているか。
自殺、薬物中毒、アル中、不倫、別居、近親恋愛、ヒステリー、人種差別等々これでもかと言う位暗い話が続く。ただ日本人と違い家族がテーブルを叩きながら、皿をぶちまけながら徹底的に自己主張しているのは驚き。相手の尊厳を認めない果てしない戦いは結局心ある人の離団を招いて行くだけ。分断された現代の家族が家族でいるためどうあるべきなのだろう。
皆不幸になってのエンディングで、言わばごみ溜めをぶちまけただけの自然主義的作品がどんな価値があるのか分からないが、ラストのシーンは長女が母の元に戻る戸いう一点が救いではある。
2017/125分 ウイストン・チャーチル
ゲーリー・オールドマンがオスカーで主演男優賞を獲得した。演説の力で国難
を乗り越えた僅かな期間だけを映像化したので、全体像がおぼろげだった。
☆3.5
ノッキン・オン・ヘブンズドアー 1997/90 独 T・ヤーン監督
ドイツで大ヒットした作品で、日本でもリメークされた。ラストシーンが泣かせる。
騙し絵の牙 2021/113 日 吉田大八監督 原作 塩田武士
大泉洋を活かすべく原作から練られたという作品。
斜陽の出版業界を立て直そうとする敏腕プロデューサーのアイデアが面白く、豪華キャスティングでエンタメとしては良。
しかし、松岡茉優の存在が大きく二人主人公になって訴求力半減か。
それはエンディングで大泉負け、松岡勝ち みたいになってしまった事と、アマゾンに身売り
で乗り切ろうという安直さが、際立ったアイデア展開を無意味にしたからではないか。
商品化した純文学の行く末が余計心配になってしまった。