☆5.0 

1941 米 我が谷は緑なりき(再)

1984 独仏 パリ、テキサス(再再)

 

 

☆4.5

1946   米 荒野の決闘/J・FORD(再)

1956 米 80日間世界一周(再)

 

 

☆4.0

1950 米 拳銃王/H・king

1953 米 聖衣/R・バー

1956 米 知りすぎていた男(再)

1959 米 北北西に進路を取れ(再)

1960 米 レベッカ/ヒッチコック

1962 米 リバティー・バランスを射った男

     (再)J・Ford/ベラ・マイルズ

1974 英 オリエント急行殺人事件(再)

1976 米 マラソンマン/D・ホフマン

1987 IRN 友だちのうちはどこ? No.4

1988   Ber 仮面のアリア

1996 英 秘密と嘘 No.6

2020 日 子供はわかってあげない No.7          

☆3.5

1946   米 我等の生涯の最良の年 No.2

1970 米 真昼の死闘/S・マクレーン

1988 米 3人のゴースト/B・マーレイ

1999 米 マグノリア No.5

1999   日 ご法度/大島渚 

2007 日 エヴァンゲリオン新劇場版:序

2009 日 花のあと No.1

2019 日 気奥にございません/三谷幸喜

2019 米 ジョーカー No.3

 


No.7

「子供はわかってあげない」 日 2020/138分 テアトル新宿2021.09.06

 

沖田修一 監督

上白石萌歌(美波)、細田佳央太(もじくん)、豊川悦治(実父)、斎藤由貴(母)、古館寛治(義父)

 

小島列島原作コミックの実写化。

上白石萌歌の陰りのない明るい演技が光り、高校2年生の青臭い感じが秀逸。

演技と言うより、そのまんま。そこが得がたい。

 

更に豊悦が、ややありきたいな内容に味付けして、離れた父親の寂しさを漂わせ忘れがたい。

漫画的な展開だが青春を描くには適切かもしれない。

 

階段を駆け上がるカメラのスピードや目隠しの手を透したカメラワーク、プールの水中撮影、

海の風景、なかなかよくできている。

 

へんてこな子役もいい。

爽やかな青春映画。

 

No.6

「秘密と嘘」 英 1996/142 

 

マイク・リー 監督

ブレンダ・プレシン(母)、ティモシー・クーポール(弟)、マリアンヌ・ジャン=バプティスト(養子に出されてた娘)、フィリス・ローガン、クレア・ラッシュブルック、

 

奔放な母を演じたプレシンの演技が見もの(パルムドール他)。

彼女が16歳の時、黒人の子供を産んで養子に出してから没交渉。

その後白人の子供を産んで、その子と二人暮らし。

 

16歳の時の子供は秘密のまま人生が進んでいくが、全てがカミングアウトされる。

肌の色が違う姉が突然現れる妹や叔父の動揺を経て、日常を取り戻す筋書き。

 

人間秘密にしておきたいことはあると思う。

この作品はオープンにすることの意味を問うているが、現実はなかなか難しい事が多いと思う。そうすることにより元に戻れない危険がある、感情の方が先立つので。

 

これは出自の問題だが、複雑な人間関係の中には嘘が多々あるし、それが功を奏す場合もあろう。奔放であることは逆にこの点では有利ではあるが。秘密と嘘 ケースバイケース。

 

英国は人種のるつぼ、黒人を抱え込む家族の包容性にも、先進性が見えた。

No.5

「マグノリア」 米 1999/187分

 

ポール・トーマス・アンダーソン 監督

ジェレミー・ブラックマン(天才少年)、トムクルーズ(マッキー)、フィリップ・シーモア

・ホフマン(看護師)、フィリップ・ベイカー・ホール(司会者)、ジョン・シー・ライリー(警察官)

 

オムニバス映画でクロージングで有機的に繋がる。

一言でいえば、気取りすぎ、背伸びし過ぎ の作品。

人生を支配する男の性欲を敢えて汚い言葉であからさまに表現することによって、並な作品では無いように演出しているともとれる。男の身勝手さだけを描き、最後は男が孤独の中で後悔するが既に人生は終わりみたいな、平凡な内容。警官と薬中毒の女性にかすかな希望が描かれるが、前途多難が予想されすっきりしない。187分もかけて収穫が少なく感じたがどううか?

敢えて長所を挙げるならば空から蛙の大群が降ってくるのは予想の付かない意外性と言うところ。

 

マグノリアとは木蓮のことであるが、ここではカルフィルニアの通りの名まえで、ここに住む色々な人たちの人生を描いている。

 

No.4

「友だちのうちはどこ?」 イラン 1987/85分 

 

アッバス・キアロスタミ 監督

ババク・アハマッド・プール、アハマッド・アハマッドプール、ホダ・バクシュ・デファイエ

イラン・オタリ

 

小津安二郎を尊敬するイランの巨匠の初期の作品(イラン北部コケールを舞台にした3部作)。好きな監督だからかなり見ているが、この作品ほどイライラし、胸が潰されそうに圧迫されるのは初めてだった。

 

 主人公のアハマッドは8歳の心優しい少年。この少年は隣村に住む友人のネアマッダのノートを間違って持ち帰ってしまった。友人はノートに宿題を書いて提出しなければ明日退学させられるので、何としても今日中に届けなければならない。

 

ところが母が次から次に用事を言いつけ外出出来ない。パンを買うお使いのついでに、隣村まで行こうとするが、無理解の大人が悉く邪魔をして、目的地にたどり着けない。

・・・ 厳格な規則を子供の躾と心得る大人たち、子供の心のうちなどまるきり無視。大人の無理解をこれでもかと言うほどしつこく描いている。だからハラハラする。

 

この地方の大人の男はとにかくおしゃべり、それも老人は一日中路端でしゃべっている。

それも文化なのだろう。コミュニケーションと言うより一方的に自己主張しているように見える。これに邪魔される子供は被害者。

 

子供に家の手伝いをさせるのは昔の日本と同じ。要するに貧しい。

学校の規律が殊の外厳しく、又毎日宿題が出るのは、革命後の方針なのだろうが、子供は忙し過ぎてのびのび育たないのでは?何処か革命政府を批判しているようにも見える。

 

村の風物描写も見もの。半乾燥地帯で寒い地域なのだろうか。

日干し煉瓦でできた粗末な家や石畳の階段、牧畜が主なのかも細い迷路をヤギの群れが歩いている。隣村は人の少ない寂しい村、日が暮れて怪しげな光が漏れ、犬にほえられ不安になる少年・・・。

 

この少年がとてもかわいい。彼の偽りのない目にイランの救いをみた。

職業俳優無、すべて素人出演。独特の作品。

 

イライラしただけに、ラストシーンにどんなに安堵させられたことか。 

No.3 「ジョーカー」 米 2019/122分

 

トッド・フィリップス 監督

ホアキン・フェニックス、ロバート・デニーロ、フランシス・コンロイ

 

アメリカのコミック「バットマン」は1940年に登場してから、数限りなく版を重ねている伝説的な漫画。バットマンは正義の味方、その敵役が「ジョーカー」である。

その人物像は長年にわたり作り上げて来たが、それとは関係なく本作は独立した作品として作られた。

 

悪役を描くのは難しい。普通主役に感情移入して鑑賞するが、悪役主人公にはそれが出来ないからだ。それでも最後は成敗されれば安心感があるが、「ジョーカー」は連続ものだから、死なないから鑑賞後嫌な気持ちだけが残る。

 

暗く、難しい映画だ。

文学にも自然主義とかがあって、人間の持つ心の汚さや残酷さだけを描いたものがあるように、映画にもそんなのがあってもおかしくないから、人間や社会の正体を真面目に描けばそれで良い。でも人間や社会は悪いところばかりじゃない、良いところもあるので、それをひっくるめて真実ではないか。少しは希望が欲しいと皆思っている。

 

ジョーカーはこの作品で7人殺す。それぞれ恨みが根源だが、殺すほどでもないのが多い。

背景に貧しさ、差別、孤独、無理解 がありそんな社会が悪いと言っているのだが、だからと言って他人を簡単に殺せないのが又人間ではないが。

 

ジョーカーは生い立ちが極めて不幸で、精神安定剤も常用している精神病と言う設定だ。

義母に似て妄想癖もある。

もしかしてこの脚本家は 普通人も日常生活の中で、殺意を感じ妄想する瞬間があるはずだから、それを実現していく課程をジョーカーに演じさせようという狙いがあるのかもしれない。

 

要するに、誰も「ジョーカー」を責められないよ、君は頭の中で妄想したことではないか、と。

 

ホアキン・フェニックスはアカデミー主演男優賞を貰った。恐ろしいほど気味悪い。

面白くない映画だけど絶対に記憶から消えない作品。その意味では最優秀作!

 

人生は悲劇かと思っていたが喜劇だったというセリフがある。突然笑いが止まらない病気の主人公、笑い飛ばすしかないのが人生、馬鹿馬鹿しい?

 

No.2 「我等の生涯の最良の年」 米 1946/170分

 

ウイリアム・ワイラー 監督

フレデック・マーチ、マーナ・ロイ、テレサ・ライト、だな・アンドリュース

 

アカデミー作品賞他7部門を制覇した名作。

太平洋戦争直後における戦争帰還兵に対する世間の冷ややかな反応が当時あったのだろう、それに対する軽い抗議、障害者に対する差別への抗議、戦争そのものが夫婦間や家族に影を落とす戦争への抗議、などなど当時では重要なテーマであったが、76年という経過した今は全く目新しいものはなく、先の読める平凡な作品に見えるのは仕方ない。

 

No.1 「花のあと」 日 2009/107分

 

中西健二 監督 

北川景子、甲本雅裕、宮尾俊太郎、市川亀次郎、柄本明、国村隼

 

麓から真っ白な雪に覆われた鳥海山に雪雲が纏わりついて、その厳しくも高貴な立ち姿に言葉を失ってしまう、素晴らしい絵だ。きっと冬の季節風の中何度も撮影機会を待った事だろう。

 又、武家屋敷の凛とした佇まいが見事に撮られており、日本建築はこんなにも美しい物なんだと再発見してしまった。

 

それに言葉少な目な訥々としたセリフ回し、この緩慢なテンポが良い。嫌いな人もいると思が、私は「雨あがる」や「阿弥陀堂だより」の小泉堯史監督を思い出した。

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気になった点も挙げておこう。

・原作は藤沢周平で海坂藩の内部犯罪を暴く筋立てではあるが、忠臣蔵の仇討ちの部分改編ともとれる内容で、展開が途中で読まれてしまう。忠臣蔵は自己犠牲により武士の面目を果たすが本件はハッピーエンドになっているところが違うが。前例戒律厳しき武家社会でこんなことがあるのだろうか・・という疑問も残り周平先生にしてはイマイチ作かなとも思えたが。

僭越か? いや僭越だった!

 

・北川景子も殺陣で頑張っているが、表情が終始硬すぎて余裕が無いとも見えてしまう、女剣士だから仕方ないか・・・う~ん?

バレーダンサーという宮尾俊太郎と共に、キャスティングが他ベテラン俳優陣とのカラーが少し違った気がしたが、新鮮味のある時代劇と言う観点からすればこれもあるかもしれない。

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とは言え、かなり良い作品だと思う、もう一歩感は残ったが。

監督まだ60歳、今後に大いに期待したい。